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トヨタアルミテープチューンアップ解析~(結論)大山鳴動鼠一匹

春の終わりから真夏にかけて何度計っても車体絶縁部のプラス帯電が検出されず、やはりオカルトだったかと結論付けしかけたトヨタのアルミテープチューンアップ。先人の説にいちゃもんを付ける時には念には念を入れろという先輩の教えを守って、湿度が低い日が続く時期を待って計測を再開しました。

その1をお読みでない方はまずこちらをご覧ください。
トヨタアルミテープチューンアップ解析~(1)トヨタの言い分と私の疑問

12月7日快晴 BMW Z4で市街地・国道を55km走行後の計測結果。計測器はサンハヤト社のMODEL EG1です。
左から、アルミホイールセンターキャップ、リアバンパーおよびフロントバンパーです。
Z4_1207_R2020.jpg
春から夏にかけては全く帯電が観測されなかった各部位共にToyotaが言うように走行によってプラスに帯電することが確認されました。(もちろん走行開始前に各部の帯電はほぼゼロだったことは確認済みです。)

以前も書きましたが、帯電系列の一番左に位置する空気とこすれ合ってプラスに帯電する物質はこの世に存在しません。特許の中ではこのプラス帯電がなぜ起きるのかについての言及はありません。また貯まった静電気がアルミテープを貼ることによって除電されるメカニズムも分からないと言っています。(コロナ放電を意識してはいますが。)
img_01_05.png

帯電のメカニズムも分からなければ、除電のメカニズムも分からない。だけど効くんや、と
これでは工学の世界ではオカルトとのそしりを受けるのはやむを得ない事です。

さて、そうは言っても確かに私にも確認できたプラス帯電、いよいよこれがアルミテープを貼ることによって除電されるのか。本日その検証実験を行いました。

12月12日 湿度も34%
まずはGolf Variant(VI) で市街地、郊外、峠道を合計約35km走行してからフロントバンパーとリアバンパーの電位を測定したところ、なんといずれもマイナス0.8kV程度の帯電が計測されてしまいました。Z4ではプラス帯電したのに何故かGolf Variantはマイナス帯電です。

ますます以てオカルトです。
ふと思いついたことがあって自宅に戻って実験を続けることにしました。

計50km走って帰宅。そして降りる前に背中をシートバックに数秒スリスリしてから降車して計ったのがリアバンパーのこの値です。見辛いですが、マイナス3.0kV。先ほどより倍近いマイナス帯電が確認されました。Z4と違ってVolf Variantは走行によってバンパーがマイナス帯電するのでしょうか?
Golf-Cott-Shoe_R2020.jpg

で、ここでこのまま靴を脱いで地面に足を付けてみると…
Golf_Cott_E_R2020.jpg

あらら、ゼロになっちゃいました。
そうです、EG1は測定者と測定対象の相対的な電位差を測るものです。私をアースしたら表示値がゼロになったという事は被測定物であるリアバンパーは帯電しているように見えていただけで実際には帯電していなかったという事です。降車する時に背中をスリスリしたのは私の身体の帯電度を上げるためでした。

結論
2020年5月から12月までの間にGolf Variant(VI), Z4(e89), X1(e84)で各複数回行った実験においては湿度の高低に依らず走行によるバンパーの帯電は観察されなかった。

これでもう勝負ありだと判断します。帯電しない物は除電しようもありません。(帯電したとしてもアルミテープでコロナ放電させるには30kV以上の帯電が必要です。それでも放電後には30kVの電位は残ります。)


蛇足
本論からは外れますが、上着を綿からポリエステルに替えて実験してみました。
右から車に乗り込む前(靴脱ぎ)、車の中で上半身をシートバックに数秒すりすりしてから降車して計測(靴履き)、同靴脱ぎです。
Golf_Polly_R2020.jpg

ポリエステルはシート生地のアルカンターラと近い素材なんでしょうね。こすれてもほとんど帯電しませんでした。

更にZ4でも確認してみました。
まずは前回と同じくポリエステルの上着を着てリアバンパーの帯電を測定してみました。
右から乗り込む前(靴脱ぎ)、運転席で数秒背中をスリスリしてから降車して測定(靴履き)、同靴脱ぎ。
Z4_Polly_R2020_1.jpg

本革シートのZ4ではポリエステルとのスリスリであたかもバンパーがプラス帯電したように見えますが、靴を脱いでアースしてみるとバンパーは帯電していないことが分かります。つまり、12月7日に「プラス帯電を観測した」というのは私の早とちりでした。

実験をしつこく続けます。
今度は綿の上着を着た時のZ4の計測結果です。
綿の場合今度はバンパーがマイナス帯電したかのように見えることが分かりますが、これも左端のように靴を脱いで接地してみれば見かけの帯電だったことが分かります。
Z4_Cotton_R2020_1.jpg

ここまでをまとめます。
トヨタが通称アルミテープチューンアップの一つの特許の中で述べている走行による車体絶縁物のプラス帯電は湿度の高低に関わらず春から冬までの多数回の実験において確認されなかった。
実験の中で一見バンパーが帯電したかに見える現象があったが、これは測定者が運転中に車のシートとの間の摩擦で生じた測定者側の帯電であった。


それでもアルミテープを貼ることによる操縦性の改善を体感しているという方は非常に興味深い実験結果をご覧ください。
Golf_Water_R2020_1.jpg  
上の写真はフロントバンパーをマイクロファイバークロスで数秒こすってマイナス14kVに帯電させたのちに、その部位に水を流した実験です。ジョウロで水をかけると一瞬で電荷が逃げバンパーの帯電はほぼゼロとなりました。

これから容易に想像できることは、雨の日は車体の帯電はほぼないであろうという事です。アルミテープチューンに効果があったとしても、それは非チューン車の雨の日の挙動には追い付かないという事です。

ですから、雨の日あるいは洗車後に吹き上げをしてない車の操縦性が格段に良くなると感じられない方はアルミテープチューンをしてもその効果は感じられないと想像しますし、私もそのクチです。また、今回の実験の中で何人かの車好きの友人に協力してもらってアルミテープチューンアップのプラセボ効果についても実験して想像以上の結果を得ましたが、小人数であり一般化できないのでここでは触れないでおきます。

本実験に於いて長期間のEG-1の借用を快諾してくれた元本田技術研究所の藤井徳明君に心から感謝いたします。

2020年12月17日追記
この記事をアップ後もまだ気になって、特許に記載されている発明者の名前、あるいはアルミテープ/車体/静電気などのフリーキーワードでCiNii検索をしてみましたが関連論文を一つも見つけ出すことはできませんでした。少なくとも日本の諸学会においてこの技術が論議されたことはないようです。
やっぱりね。
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常吉

車好きのエンジンエンジニアが自動車会社を定年後に解き放たれてますますヒートアップ。
現在BMW Z4とX1に乗っています。
2018年11月追記:14年落ちToyota istを8万円で購入し、足車に追加。
2019年10月追記:istを手放し7年落ちのVW GOLF(Ⅵ)Variantを追加。

現在ドイツ車3台(+伊ロードバイク、米MTB)体制です。
山スキー、クライミング、ロードバイク、酔っ払いの日記は本館へどうぞ。
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Author:常吉
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2018年11月追記:14年落ちToyota istを8万円で購入し、足車に追加。
2019年10月追記:istを手放し7年落ちのVW GOLF(Ⅵ)Variantを追加。

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